シーテッド・リバティ・クォーターとは
シーテッド・リバティ・クォーター(Seated Liberty Quarter)は、1838年から1891年まで53年間にわたって発行されたアメリカ合衆国の25セント銀貨です。アメリカ貨幣史上、最も長く使用されたデザインの一つとして知られています。
このデザインは、アメリカ造幣局第3代主任彫刻師クリスチャン・ゴブレヒト(Christian Gobrecht)によって制作されました。ゴブレヒトは画家トーマス・サリーのスケッチを基に、古典的で威厳のある「着座する自由の女神」を完成させました。
デザインの解説
表面(オブバース)
岩の上に座る自由の女神(リバティ)が描かれています。左手には自由の象徴であるフリジア帽を載せた棒(リバティ・ポール)を持ち、右手には盾を支えています。盾には「LIBERTY」の文字が刻まれ、警戒と備えを象徴しています。
女神を囲むように13個の星が配置され、これはアメリカ独立時の13州を表しています。下部には発行年「1871」が刻まれています。
裏面(リバース)
翼を広げた白頭鷲(ハクトウワシ)が中央に配置されています。右脚にはオリーブの枝(平和の象徴)、左脚には矢の束(軍事力と防衛の象徴)を握っています。
鷲の上部には「UNITED STATES OF AMERICA」の銘文、下部には「QUAR. DOL.」(Quarter Dollar の略)が刻まれています。鷲の上にはリボンに「IN GOD WE TRUST」のモットーが記されています。このモットーは1866年から追加されたもので、南北戦争の影響を反映しています。
1871年のプルーフ貨
1871年のフィラデルフィア造幣局では、通常発行(Regular Strike)が約119,160枚、プルーフ貨が僅か960枚のみ製造されました。
本品は極めて少数の収集家向けに特別製造されたプルーフ貨です。プルーフ貨は特別に磨かれた刻印(ダイ)と念入りに選別されたプランシェット(貨幣素材)を使用し、複数回の打刻によって製造されます。
「CAMEO」の称号は、デバイス(浮き彫り部分)が美しいフロスト仕上げで、フィールド(背景部分)が鏡面仕上げになっているプルーフ貨に与えられます。この明暗のコントラストが「カメオ」のような効果を生み出すことからこの名が付けられました。
南北戦争後のアメリカ
1871年は南北戦争(1861-1865年)終結から6年後。アメリカは「再建期(Reconstruction Era)」と呼ばれる復興の時代にありました。
この年は南北戦争以降初めてクォーター・ダラーの発行枚数が10万枚を超えた年であり、経済の回復を示す象徴的な年でもあります。また、1871年には大規模なシカゴ大火が発生し、アメリカ史に大きな足跡を残しました。
コインの仕様
| 発行国 | アメリカ合衆国 |
|---|
| 額面 | 1/4 ドル(25セント) |
|---|
| 発行年 | 1871年 |
|---|
| 造幣所 | フィラデルフィア(ミントマークなし) |
|---|
| 素材 | 銀 (.900) |
|---|
| 重量 | 6.22g |
|---|
| 直径 | 24.3mm |
|---|
| デザイナー | クリスチャン・ゴブレヒト |
|---|
| プルーフ発行枚数 | 960枚 |
|---|
鑑定情報
本品はNGC(Numismatic Guaranty Company)によりPF63 CAMEOのグレードを取得しています。
PF63はプルーフ貨として優れた状態を示し、CAMEOの称号は美しいフロストとミラーフィールドのコントラストを持つ個体に与えられます。
認定番号:5883927-003
デザインの見どころ
表面:クラシカルな着座するリバティ女神。古代ローマの自由を象徴する図像を連想させる、威厳あるデザインです。
裏面:翼を広げた白頭鷲。平和と力の象徴を両脚に握り、「IN GOD WE TRUST」のモットーが南北戦争後の宗教的感情を反映しています。
本品は150年以上前に僅か960枚のみ製造されたプルーフ貨であり、美しいカメオ・コントラストを持つ希少な一枚です。