フランス植民地貨幣とは
本品は1824年にパリ造幣局で製造されたフランス植民地向け10サンチーム試作貨(Essai)です。「COLONIES FRANCAISES」(フランス植民地)の銘文が刻まれたこの貨幣は、カリブ海のフランス領西インド諸島(マルティニーク、グアドループなど)での使用を目的として設計されました。
「Essai」とは試作貨を意味し、正式発行に先立って製造される見本貨幣です。通常発行されるものとは異なる仕上げが施されていることが多く、コレクターにとって特別な価値を持ちます。
ルイ18世とブルボン王政復古
この貨幣に肖像が刻まれているルイ18世(1755-1824年)は、フランス革命で処刑されたルイ16世の弟です。23年間の亡命生活を経て、1814年にナポレオン失脚後のブルボン王政復古により王位に就きました。
ルイ18世の治世は、革命の混乱とナポレオン帝政を経たフランスに安定をもたらす時代でした。彼は立憲君主制を採用し、1814年憲章を発布。革命で得られた自由の一部を維持しながら、議会制度を導入しました。
1824年9月16日、ルイ18世は在位約10年でパリにて崩御。子がなかったため、王位は弟のシャルル10世に継承されました。本品はまさにルイ18世最後の年に製造された貨幣です。
1814年パリ条約と植民地の回復
ナポレオン戦争終結後の1814年パリ条約により、イギリスに占領されていたフランス植民地の多くが返還されました。グアドループ、マルティニーク、仏領ギアナ、セネガルの交易拠点、レユニオン島(当時はブルボン島)、インドの仏領租界など、フランスの海外領土が復活しました。
ただし、トバゴ、セントルシア、セーシェル、モーリシャスなどはイギリスに永久割譲されました。1824年にはフランスがハイチの独立を承認しています。
デザインの解説
表面(オブバース)
ルイ18世の左向き肖像が描かれています。周囲には「LOUIS XVIII ROI DE FRANCE」(ルイ18世 フランス国王)の銘文。下部には「ESSAI」(試作)の文字が刻まれ、これが通常発行品ではなく試作貨であることを示しています。
裏面(リバース)
王冠を載せた「二重L」モノグラム(ルイの頭文字)と、それを囲む豪華な装飾が中央に配置されています。周囲には「COLONIES FRANCAISES」(フランス植民地)、下部に額面「10 C.」と発行年「1824」、造幣局記号「A」(パリ)が刻まれています。
コインの仕様
| 発行国 | フランス植民地(西インド諸島向け) |
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| 額面 | 10サンチーム |
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| 発行年 | 1824年 |
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| 造幣所 | パリ(A) |
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| 種類 | 試作貨(Essai) |
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| 君主 | ルイ18世 |
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| 素材 | ブロンズ(青銅) |
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| 重量 | 13.3g |
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| 直径 | 30.5mm |
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| 参考文献 | Lec#297a |
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鑑定情報
本品はPCGS(Professional Coin Grading Service)によりSP63BNのグレードを取得しています。
「SP」はSpecimen(見本貨)を意味し、試作貨や特別発行品に付与されるグレードです。「BN」はBrown(ブラウン)の略で、ブロンズ貨の色調を示しています。SP63は見本貨として優れた状態を示すグレードです。
認定番号:651448.63/57596403
Numista Rarity Index: 96(極めて希少)
コレクターズノート
フランス植民地向け試作貨は発行枚数が極めて少なく、市場に出回ることは稀です。本品はルイ18世最後の年である1824年に製造された歴史的にも意義深い一枚であり、PCGS鑑定済みの高グレード品として大変貴重なコレクターズアイテムです。