チューリッヒ・ターラーとは
本品は1761年にスイスのチューリッヒ共和国で発行されたターラー銀貨です。「シティビュー・ターラー」と呼ばれるこのタイプは、裏面にチューリッヒの美しい都市景観が精緻に彫刻された、コレクター垂涎の名品です。
チューリッヒは1648年から1798年まで独立した共和国として存在しました。プロテスタント共和国であったチューリッヒは、君主や聖人ではなく、都市そのものの紋章と景観を貨幣に刻むことを選びました。これは都市の富、権力、繁栄を誇示するためでした。
デザインの解説
表面(オブバース)
剣を持って後ろ足で立つライオン(ラパント・ライオン)がチューリッヒ市の紋章を支えています。ライオンはチューリッヒの守護者として、力と勇気を象徴しています。
周囲にはラテン語の銘文「MONETA REIPUBLICAE TIGURINAE」(チューリッヒ共和国の貨幣)が刻まれています。「Tigurinae」はチューリッヒの古代ラテン語名「ティグルム」に由来します。
裏面(リバース)
チューリッヒの壮大な都市景観が360度の視点で描かれています。リマト川を行き交う船、川沿いに建ち並ぶ歴史的建造物、遠景に広がる山々まで、驚くほど精緻に彫刻されています。
上部には「DOMINE CONSERVA NOS IN PACE」(主よ、我らを平和のうちにお守りください)という祈りの言葉が刻まれています。下部のカルトゥーシュ(装飾枠)には発行年「1761」が記されています。
シティビュー・ターラーの歴史的意義
チューリッヒのシティビュー・ターラーは1651年から1790年まで製造されました。これらの貨幣は単なる通貨としてだけでなく、都市の歴史的記録としても貴重です。発行年によって描かれる建築物が変化しており、チューリッヒの都市発展を貨幣上で追うことができます。
18世紀のスイスでは、1ターラーは72シリングまたは2グルデンに相当する高額貨幣でした。そのため、日常の取引よりも貯蓄や大きな取引に使用されることが多かったとされています。
1761年のチューリッヒ
1761年は七年戦争(1756-1763年)の最中でしたが、スイスは永世中立の立場を保ちました。チューリッヒは金融業と繊維産業で繁栄し、ヨーロッパの文化・教育の中心地の一つとして発展していました。
コインの仕様
| 発行国 | スイス チューリッヒ共和国 |
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| 額面 | 1 ターラー |
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| 発行年 | 1761年 |
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| 素材 | 銀 |
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| 直径 | 約40mm |
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| 重量 | 約27g |
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| タイプ | シティビュー・ターラー |
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| 参考文献 | Dav-1791 |
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鑑定情報
本品はNGC(Numismatic Guaranty Company)によりAU58のグレードを取得しています。
AU58は「About Uncirculated(ほぼ未使用)」の最高グレードであり、わずかな摩耗のみで、大部分のミントラスター(造幣時の輝き)が残っている状態を示します。260年以上前の銀貨としては極めて優れた保存状態です。
認定番号:6268363-040
コレクターズノート
チューリッヒのシティビュー・ターラーは、スイス貨幣の中でも特に人気が高いシリーズです。精緻な都市景観の彫刻は、18世紀の造幣技術の粋を集めた芸術作品といえます。
本品は1761年という特定の年号を持ち、NGC AU58という高グレードで鑑定された希少な一枚です。スイス・コイン・コレクションの中核を担うにふさわしい逸品です。